手根管症候群
目次
- Q. 手根管症候群とは?
- Q. 手根管症候群は何歳ぐらいに多いですか?
- Q. 女性が多いと聞きますが、男女比はどうですか?
- Q. どんな症状が出ますか?
- Q. 原因は何が考えられますか?
- Q. どうして症状が出るのですか?
- Q. 治療法はどんなものがありますか?
- Q. 自然に治ったり、自分で治すことはできますか?
Q. 手根管症候群とは?
親指、人差し指、中指にしびれと痛みが出る病気です。
明け方にしびれや痛みが強く出て、手を振ったり指を曲げ伸ばしすることで少し楽になります。

こちらでは手根管症候群についてをQ&A形式でご説明しています。
Q. 手根管症候群は何歳ぐらいに多いですか?
A. 2016年1月~2018年6月30日まで通院された新規手根管症候群の患者さんの年齢分布です。
40代以下と50代60代で増加傾向があり、50~54歳、65歳から69歳にピークがあります。

Q. 女性が多いと聞きますが、男女比はどうですか?
A. 467例の性比分布は、下グラフのように男性18.8%、女性81.2%と女性が多くを占めていす。

Q. どんな症状が出ますか?
A. 親指、人差し指、中指、薬指の半分のどれか指先にしびれや疼痛(ズキズキした痛み)が出ます。夜間や朝方にしびれや疼痛が強くなり、目が覚めることがあります。
ものをつまんだ時に気づいたり、やけどをしてもわからないこともあります。
症状が進行すると母指の筋肉が萎縮して、つまみ動作がしにくくなります。ボタンかけ、針仕事、ペットボトルのふたが開けにくくなります。
診断:ファーレン・テスト

上のイラストのように、手首を圧迫するようなポーズをして、しびれの原因が手根管症候群によるものなのかを確かめてみましょう。
Q. 原因は何が考えられますか?
A. 多くは年齢構成が50代、60代で多いことをみると経年的変化を考えますが、70代以降に低下傾向が生じているところをみると決して年齢だけではないように思われます。
また、女性が多いことより、女性ホルモンの関係についての報告は多くみられます。
手を使う仕事を多くする職業因子も考えられます。
腱鞘炎(ばね指)同様に、多因子による影響が最も考えられており、特定は困難そうです。
Q. どうして症状が出るのですか?
A. 手根管は手首のところに骨と骨を跨ぎ、9本の屈筋腱と1本の正中神経を束ねている横手根靭帯があります。
指を動かすたびに腱はお互いに擦れあいながら動きます。擦れ合い(抵抗)を少なくするために腱の周りには滑膜というスライムのようなもので覆われています。
たくさん指を使う人、また女性におおいこと、妊娠前後で発症することが多いことから、女性ホルモンの関係でその滑膜がだんだんと厚く形成されてきます。
腱と神経は束ねられていますから、滑膜が過剰に形成されると、柔らかな神経に負担がかかり、圧迫性神経障害が生じて症状が出現します。

Q. 治療法はどんなものがありますか?
A. 非手術治療と手術治療があります。
私のところでは、夜間、早朝に症状が出ることからこの時間帯に安静目的でスプリントを着用していただいております。
手根管症候群への装具療法の成績
2008年1月から5年間 172例の手根管症候群に装具を装着しました。
対立筋の萎縮の無いG1群(102例)、軽度萎縮のあるG2群(32例)、そして筋萎縮が高度なものG3群(38例)の効果につて比較しました。
【結果】
筋萎縮がないもの効果がありました。それ以上に筋萎縮の高度なG3群でも30%以上の患者の症状を軽減していました。また、効果については、糖尿病、腱鞘炎(ばね指)等の合併疾患には影響されませんでした。

【参考文献】十時靖和、田中利和他、『当院における手根管症候群の装具療法の検討』日本手外科学会誌33巻6号874‐7,2017
しかし、つまみ動作や、ボタンの着脱などの細かい動作が困難になっている方は、十分な効果が出ておりません。
その他、注射療法(手根管内へのステロイド+局所麻酔剤)消炎鎮痛剤の投与を行っています。また、症状を繰り返す方には、炭酸ガス療法を行っています。
外科的治療は、大きく2方法あります。
- ① しびれ、疼痛が主な方は横手根靭帯のみ切開し、腱、神経を開放します。局所麻酔の手術で、15分ぐらいで終わります。詳細は手術を担当される先生に確認しましょう。
- ② つまみ動作がうまくできない方へは対立筋形成術と言って、掌の一部の腱を親指の根元に移行して萎縮した筋の代わりさせる処置を行います。手術時間は1時間程度です。固定を3週間し、実際に使えるようになるのに6週間程度をみこんでおいてください。
田中利和の手根管症候群治療方針

根治をご希望であれば、手術を行います。
そうでない場合には、まずは患部を安定させるスプリントによる固定を行います。
スプリントによる固定で症状が緩和されていけば経過観察になりますが、有効でない場合にはそのほかの保存的療法(炭酸ガス療法、神経周囲ステロイド注射、鎮痛薬投与)を行っていくことになります。保存療法ではどうしても治療が進まなくなりますと、手術による治療を行います。
Q. 自然に治ったり、自分で治すことはできますか?
A. 腱鞘炎(ばね指)同様、原因の一つに女性ホルモンがあります。大豆に含まれているイソフラボンが女性ホルモンと骨格が似ていることから、豆乳や大豆製品(豆腐、納豆など) の摂取が改善の可能性がありますが、エビデンスのある研究はありません。また、イソフラボンの有効成分だけを利用した健康食品も発売されています。






